初恋物語~大切な君へ

料理を食べて、洗い物を片すのを
圭介君が手伝ってくれて早く終わった。
ふと掛け時計に目を向けると
時刻は20時30分になっていた。
楽しい時って時間が過ぎるのって
本当に早いなぁ。
私達はお互いコタツに入って他愛のない
話をしながらくつろいだ。
そうすると時間はみるみると過ぎて行き、
21時過ぎになっていた。

「圭介君そろそろ帰らなくても大丈夫?」


「俺は平気、明日休みだし。」


「そ…そう?」
「それなら良いんだけど。」


「あのさ、今から大事な話ししたいんだけど。」

圭介君は真剣な眼差しで私を見つめる。
大事な話しと言う言葉と真剣な圭介君を
見て私は察しがつく。
こーゆうのって本当に緊張する。
落ち着かなくなる。
私は気持ちを落ち着かせる為に、
コタツから立ち上がってトイレに行こう
とした。

「わかった。」
「ちょっと先にトイレ行くね。」


雫が立ち上がった。
きっと今からの話しをちゃんと聞く為に、
気持ちを落ち着かせに行くのだろうと
俺は思った。
長年、雫と関わっているから雫の性格が
わかる。
だけど…今日は待てない。
俺の気持ちが溢れる。
だからあまり家には入るのを躊躇していた。
こうなることを分かっていたから。
なのになんで、俺はあの時雫の手料理が
食べたいって言ったんだ。
欲が出てしまったんだろうな。
ただ、再び告白は近々するつもりだったから。
今日決心はついた。
雫の事を愛してる。
だから気持ちを伝える。

「雫……。」


「圭介……君。」

私は、いつの間にか圭介君に後ろから
抱きしめられていた。


「どこにも行かせたくない。」


「どこにも行かないよ。」


「俺、やっぱり雫が好きでしょうがない。」


「圭介君……」

圭介君が私を抱きしめる強さで
気持ちが全部伝わってくる。
胸がキュっと締め付けられる。
1歩踏み込みたいのに……怖い。
ちゃんと颯太君を忘れて、圭介君の事だけ
みていけるのか。
正直に言おう……。
圭介君が私に向き合ってくれてるように。
私も今の自分の気持ち言わなきゃ。

「雫……愛してる。」
「俺と結婚前提で付き合ってほしい。」
「俺が幸せにする。」
「俺が傍にいる。」


「圭介君、ありがとう。」
「気持ちすごく伝わったよ。」
「私の事ずっと想ってくれてるの」
「本当に嬉しい。」
「正直私、圭介君の事好きになりかけてる。」


「じゃ、俺と一緒になろ。」



「でも、ごめんなさい。」
「私、まだ颯太君の事忘れられない。」
「こんな中途半端で優柔不断な私と」
「付き合ったら、圭介君が幸せになれない。」
「そんなのやだもん。」



「俺が幸せかどうかは俺が決めるよ。」
「俺が1番嫌なのは他の男に雫を取られたくない。」
「それに俺が幸せなのはどんな理由で」
「あろうとも雫の傍にいたい。」
「雫が傍にいてくれるだけで幸せなんだ。」


「圭介君そこまで私の事……。」
「だけど、颯太君の事本当に……」


「颯の事は無理に忘れる必要ないよ。」
「それに雫が颯の事忘れられないのは」
「今始まった事じゃないし」
「俺はそれでも良いって言ってんだよ。」
「いつか自然に忘れられたら良いんだよ。」
「少しでも俺の事を好きになりかけてる」
「なら付き合って。」

雫が、俺の事を好きになりかけてると
言ってくれて俺はすごく嬉しい気持ちで
いっぱいのとこのチャンスを逃したくない。
だから俺は精一杯俺の気持ちを伝えた。
もう大好きの気持ちを我慢するのは限界……。
颯……ごめん……雫は俺が幸せにする。