「だったらなんで別れるとか言うんだよ!」
「俺、来月からイタリアに行かないと」
「行けなくなった。」
「「えっ?」」
「前、チラッと話したろ?」
「父さんの会社近々海外に進出するって。」
「その計画が進んでてもう決まったんだ。」
そう淡々と苦しそうな表情で颯は話し
続けた。
「俺はそもそも海外なんて行かない」
「つもりだったし、父さんも最初は」
「そのつもりではなかったんだ。」
「だけど……父さん、肺癌になって」
「しまってイタリアで治療をしながら」
「働くんだ。」
「颯太……マジかよ……そんなの」
「辛すぎるだろ。」
「うん……辛い。」
「まだ話しの続きがあるんだ。」
「この間父さんからそう話しを切り出され」
「父さんからイタリアの支店が安定する」
「まで手伝ってほしいと。」
「治療しながらは結構負担になるみたい」
「で支えてほしいらしく俺もそうしたい」
「と思ったんだ。」
「父さん、めちゃくちゃ頑固で厳しい」
「人だけど俺の父親には変わりないから。」
「そうだよな。」
「でもなんで、木ナッシーと別れないと」
「ならない?理由になってなくね?」
「うん……俺もここまでの話しでなら」
「別れる決心はなかった。」
「そんなの別れたくないに決まってるし。」
「1番愛おしくて世界一大好きな子だから。」
「颯……だったらなんでなんだよ。」
「父さんに雫と別れなさいと言われ」
「その理由が、付き合ってる事で」
「会社の事に集中して欲しいらしい。」
「本気でこの新しいイタリア進出を」
「今成功させないといけないらしく」
「従業員もこのプロジェクトに必死で」
「頑張ってるんだって。」
「だからここで頑張って手伝ってくれたら」
「もう俺は自由にして良いと。」
「雫との交際が戻っても反対もしない」
「って言った。」
「後、父さんが言うには雫のお父さんの」
「会社も飲食系らしいんだがそこの会社」
「倒産の危機でうちの会社と契約を」
「結びたがってるらしくてだけど」
「あまり契約を結んでもうちの会社的には」
「利益にならないらしい…だが」
「雫と一旦別れて会社に専念すると」
「言う条件を述べば契約すると言ったんだ」
「そうすると雫のお父さんは倒産から」
「逃れられて家族が安定すると。」
「そうなると雫が悲しまなくて済むだろ?」
「だがら俺は父さんの条件を呑んだ。」
「この事を圭介と慎吾には話して」
「おきたかったんだ。」
「つまり、颯太はつまり木ナッシーの事を」
「考えての決断だったって事なんだな。」
「そう。」
「だって、雫の家族が危機なんて俺も嫌なんだ。」
「俺が別れる条件さえ了承すれば雫の家族が」
「助かるなら良いんだ。」
「颯が悩んで決めた事だから」
「俺は何も言わない……。」
「ちゃんと雫の事を考えての決断って」
「分かったから。」
「ただ、雫が心配だよな……」
「お父さんの倒産は免れるけれど」
「颯とは別れる事になる。」
「それもちゃんとした理由も知らずに。」
「そうなんだよ……だから圭介にお願いがある。」


