「もしもし」


「圭介急にごめん……。」
「今って雫と美桜ちゃん慎吾といる?」


「居ねえよ俺だけだ。」
「今家に帰ってきたところ。」



「あのさ、圭介と慎吾に大事な事を」
「話さないとならない。」
「俺の大事な話しと圭介にどうしても」
「お願いがあるんだ。」





「なんなんだよ急に……。」


この時俺の身体の中で変な胸騒ぎが起こった。
これから大変な事になるかもしれないと。



「今から俺の家に来てくれ。」
「今俺しか居ないから話しやすい。」
「この後慎吾にも電話して来てもらう」
「から。」





「わかった。」
「今すぐ行く。」



「ありがとう……。」



そう言って颯は電話を切った。
きっと、俺と慎吾にしか話せない内容なのだとは思うが俺と慎吾にしか話せないのは
何故だ?
雫にも話せない内容なんてあるのだろうか。
とりあえず一大事なのは確かだと思う。
俺は親に一言今から出かけてくるとだけ言い
家を飛び出し颯の家に向かった。

近藤圭介side END








颯太side


雫の誕生日からかれこれ6ヶ月が経ち
家の会社の事が原因でなかなか雫との
時間が作れないでいた。
雫はこんな俺の事情を理解し、会えない時も
心で支えてくれる俺には勿体ないほど
素敵な彼女。
でもそんな彼女を俺は裏切る形を決断しな
ければならない事になる。
悩みに悩んでどれを優先に考えるべきか
考えて考え抜いての決断だ。
それをこれから圭介と慎吾にだけ打ち明ける
事にした。
事の発端は2週間前に遡る。


※2週間前※

その日俺は、父さんの仕事の手伝いでバタバタしていた。
仕事の手伝いが終わったのはもう、時計の針が夜の7時を刺していた。
それと同時に父さんも帰ってきた。
父さんは今日イタリアに工場を建てた後の手続きなどを会社でしていた。
俺の母さんは自分の働いてる化粧品会社の
部下の育成や今開発中である新しい商品のプロジェクトマネージャの為イタリアには行かない。
そして俺はもちろん雫が居るから行かない。
今でも辛い思いさせしまっているのに、
そんな追い討ちかけるような事はしたくない。
だからもう少しの我慢だ……。
父さんがイタリアに行けば手伝いも終わって
やっと雫と一緒に居られるとこの時までは
思っていた。