「ううんだって颯太君忙しいから」
「仕方がないもん。」
そう言いながら雫は再び俺の胸の中に
顔を埋め俺のシャツを両手で握りしめて
いた。
そんな雫の仕草がとてつもなく可愛い
くて鏡見なくてもわかるくらい俺の
顔は赤く染まっていた。
「これからは会える時間作るように」
「頑張るよ。」
「無理はしないでね。」
そう言いながら雫は俺の胸から顔を
離し上目遣いで俺の顔を見上げて
きた。
あぁーもう。
なんなんだよこの生き物わ。
直ぐにでも抱きしめたくなるじゃん。
だけどそんな衝動をなんとか俺は
抑えた。
どこで誰が見ているかわからない。
「ありがとう。」
「無理はしないよ。」
「とりあえず中に入ろ。」
「うん。」
私は颯太君に手を握られそのまま
颯太君の家へと入った。
久しぶりに家の中入ったけれど
やはり物凄く広い家だなぁと改めて
感心する。
リビングに行くまでの長いこの廊下の
壁には高価な画がいくつも飾られて
いた。
神話画と祭壇画が主に多く飾られている。
長い廊下を抜けるとアンティーク調の
扉を開くと17畳程の大きなリビングが
現れた。
「雫、とりあえずそこに座ってて。」
「わかった。」
私は颯太君に指定された食卓の椅子に
座る。
颯太君は座らずそのままキッチンの方に
向かって冷蔵庫から何かを取り出して
いた。
そして四角い箱を持って私の方へと
近づいてきた。
白い四角い箱を颯太君が開けると
美味しそうなフルーツが沢山乗っている
4号サイズのホールケーキが現れた。
颯太君は1と7の数字が刻まれた
ロウソクを丁寧にケーキの真ん中に
飾り付け、ロウソクに火を灯す
「雫、電気消すよ。」
颯太君はリビングの電気を消して誕生日
ソングを歌ってくれた。
ロウソクに照らされた颯太君の顔が
やけに色っぽく見えてドキドキと
私の胸が音を立てる。
「雫、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう颯太君。」
「最高に幸せな誕生日になったよ。」
「喜んでもらえてなにより。」
「あっ、電気付けるね。」
「ケーキ凄く美味しそう!」
「ここのケーキ、甘さ控えめなのに」
「ちゃんと程よい甘さもあり」
「スポンジもフワフワでおいしいんだよ。」
「早速食べよ食べよ!」
「いただきます!」
私はケーキを1口サイズの大きさにフォーク
でカットし、上に乗っている苺と一緒に
口の中に頬張る。
「!!おっ!!」
「おいしい!苺の甘さとホイップクリーム」
「の甘さ控えめが上手いこと調合」
「されていて口の中でとろける。」


