「えっと·····それは何故?」
「雫に渡したい物があるんだ。」
「どうしても2人の時に渡したくて。」
「わかった。」
「それじゃ家帰ってきたら連絡するね。」
「うんありがとう。」
「それじゃ私、そろそろ行くね!」
「あっ、うん楽しんできて。」
「ありがとう!」
私はこうして近藤君と別れた後、真っ直ぐ
に颯太君の家へと急いで向かった。
やっと颯太君に会える。
約1ヶ月ぶりの颯太君は元気だろうか。
家のお仕事の手伝いで体調崩していない
だろうか·····会うまで凄く心配で
たまらなくなる。
早く颯太君に会いたい·····私は颯太君の
最寄りの駅を降りたらすぐさま小走り
で颯太君の家へと向かった。
そして、颯太君の家の前にたどり着き
心を落ち着かせて大きな門の右横にある
インターフォンのボタンを押す。
押してから5、6秒経ってから
インターフォンの受話器を取る音が
聞こえた。
「あっあの!木梨雫です。」
「颯太·····」
私は颯太君いますか?と言いかけたが
それよりも早く本人が勢いよく
発する声に私は驚きと喜びが混ざった
感情と身体の中に巡ってくる暖かな
気持ちに包まれたのだった。
「雫!」
「今すぐ開けるから!」
そう颯太君が言うと直ぐに大きな
門が重い鉄の音をたてながらゆっくりと
左右に開き始めて、ある程度開いた
段階で私は玄関に向かって歩き始めた。
「雫!」
「颯太君!」
私は歩きながら、颯太君が玄関を開けた
瞬間に全速力で走りそのまま彼の胸に
飛び込んだ。
私、本人が1番驚くほど余程私は
颯太君不足だった事とこんな
行動力がある事を自覚したのだ。
「雫!」
俺は雫が来たとインターフォンで確認
取れたら直ぐさま玄関の方に向かって
駆け出した。
そして玄関を開けて俺は大きな声で
雫の名前を叫んだ。
そうすると前方から雫は一生懸命俺の
方に向かって走ってきてくれる。
その姿を見るととても愛おしいくて
たまらない。
雫とようやく会えた喜びと愛しさの衝動
でおかしくなりそうだ。
そんな俺の気持ちを更に雫は煽る
かのように真っ先に俺に向かって抱き
ついてきた。
「颯太君·····私·····颯太君に会いたくて。」
そう言って彼女は俺の胸に顔を埋めて
涙を流してていた。
こんなにも雫を心配させてしまって
心が引き裂かれる思いだ。
「雫、寂しい思いさせてしまって」
「ごめんな。」


