「増田君ありがとう!」
「颯太君からだ!」
「今から来るのかな!?」



私は期待を胸に颯太君からの電話を出る。
今から来るって事だよね!
やっと颯太君に会える!
そう私は期待をしていた。




「颯太君!」
「雫だよ!」



「雫…連絡遅れてごめん。」




「全然大丈夫。」
「ねぇ、今から来れる感じ?」




「ごめん…雫…本当にごめん。」
「さっき、診察終わって徳井さんの家」
「まで送ったんだけど徳井さんの」
「お父さんが是非お礼をしたいからと」
「言っていて夜ご飯ご馳走になる事に」
「なって…。」
「前も話したけど今大事な親父の」
「クライアントさんだからちょっと」
「断れないから今回はそっちには」
「行けそうにない…。」





「えっ…?」
「颯太君に会えない…んだ。」



「ごめん雫…。」
「この穴埋めは必ずするから。」
「明日の土曜日は雫に会いに行くから。」




「そっか…わかった。」
「そっちのが大事…ならそれで良いよ。」


ああ…駄目だよ私…こんな言い方。
ただの嫉妬とワガママじゃん。
颯太君が大変なのはわかるよ。
だけど、私今日は久しぶりにみんなで
遊べるって凄く楽しみにしてたんだよ?



「雫…。」




「颯太君ごめん。」
「嫌な言い方しちゃった。」
「私は大丈夫。」
「颯太君のお父さんの大事なお客さん」
「からのお誘いだから仕方がないもんね!
「颯太君、明日待ってるから。」



「雫ありがとう。」
「それじゃ、また連絡する。」




そう言って颯太君は電話を切り、
私のスマホのスピーカーからはプープーっと
電話が切れた音だけが鳴っていた。
そして、私は美桜に言われるまで
気が付かなかった…目から涙が溢れ
出ていた。




「雫…どしたの?」
「涙出てるよ…。」
「颯太君に何か言われたの?」



「えっ?あれ?」
「可笑しいなぁ…なんで涙が出てるの?」


そう私は笑顔と涙が混在しながら言う。
すると近藤君は突然私の事を抱き寄せて
いた。



「「あっ…!」」

美桜と増田君は同時に目を開き私達を
見ていた。





「近藤君!?」
「美桜と増田君が見てる!」




「そんなん関係ない。」
「俺言ったよな?」
「泣きそうな時は胸を貸すって。」
「今がその時なんじゃないの?」
「我慢する必要なんてない。」
「俺らに言ってみ?」
「颯からなんて言われた?」




私はお言葉に甘えてそのまま近藤君の
胸を借り、電話の内容を話した。




「そうだったのか。」
「木ナッシーさ、もっと颯太にワガママ」
「になってもいいだぜ?」
「彼女なんだから。」




「そうだよ!雫は颯太君の彼女でしょ?」
「ここ最近、雫ばっか我慢しているのは」
「よくないよ。」
「そんな事していたらいつかは爆発」
「しちゃうじゃん?」



「うん…明日は会いに来てくれるから」
「明日、わがままになっちゃおうかなw」



そう言いながら雫は俺や増田、長谷川に
引きつった笑顔を見せていた。
雫自体は笑顔に言っているつもり
なんだろうが今、抱きしめてる俺の
腕の中で雫は震えていた。
だから一瞬でもそんな不安や寂しさを
消えさせる方法はないのか俺は考える。
そして俺はある方法見つけ実施する。



「雫…ごめん先に謝っとく。」
「今から一瞬で不安や寂しい気持ち」
「忘れさせてやるから。」



「えっ!?」
「んっ!んっ!」



ちょっと待って…何これ…
何が起きているの!?
私…近藤君にキスされている!
近藤君の唇から優しい体温が私の
唇に浸透してくる。
本当に一瞬で不安や寂しさが吹っ飛ん
じゃう。
そりゃそうだよ。
こんな事すると誰だって吹っ飛ぶよ!


「ちょっと!近藤君!」



ちょっと!近藤君!?
それはやりすぎでは?
雫にキスしちゃってるじゃん。
雫の事本気だってわかるけども。
こりゃー今後ちょっと厄介な事になり
そうな予感がする。




「圭介!!?」



おいおい!
圭介…それはマズイだろ。
颯太にバレたら颯太マジでキレるぞ?
木ナッシーの事本気で惚れてる気持ち
わかるが人の彼女の唇を奪うのは…。
こっちが恥ずかしくて見てられん。





俺は雫の唇からそっと離れた。
そして雫の顔を見ると効果抜群だった。
雫の目から涙は止まって唖然と
固まっていた。