「ごめんやっぱり思い出せない。」
「良いのよ。」
「えっとね、颯太君は4年前の」
「中学2年生の時に駅のホームで」
「具合が悪くなった私に声を」
「かけてくれたの。」
「確か夏休みに入る1週間前だったかな。」
「私のクラスの友達が体調不良で」
「学校を休んでたからお見舞いに行こう」
「って思って電車に乗るため私は」
「普段使わない路線の電車に乗ろうと」
「したのだけど、ちょうど私が乗る」
「電車がね改札口通った時に来ちゃって」
「私どうしてもその電車に乗りたくて」
「喘息持ちなのに走ちゃったのw」
そう淡々と笑いながら徳井華は
俺に話してくれた。
そして俺はそれをヒントにもう一度
思い出そうと当時の記憶を頭の片隅から
引っ張り出す。
その間も徳井華は話を続けて教えて
くれた。
「ちょうど最後の階段を上がって」
「後は目の前にある電車に乗り込む」
「だけなのに発作が起こっちゃったの。」
「そりゃそうよねw病院の先生からは」
「走る止められていたのに走ちゃった」
「んだもん。案の定電車には乗れず」
「私はその場でうずくまってしまって」
「カバンから気管支拡張薬を出そうと」
「したのだけれど咳が思いのほか」
「酷く出ちゃって取る事さえできなくて」
「もうダメなんだ…誰もが私に声を」
「かけてくれなくみんな通り過ぎる」
「声も出せない……私ここで天国に」
「行っちゃうんだと思った瞬間に…」
徳井華が丁寧に説明してくれたおかげで
今、ようやく思い出せる事ができた。
「紺色のセーラ服を着たショートヘア」
「の女の子……俺はその子が」
「駅のホームでうづくまっていたのを」
「見つけ大丈夫ですか?っと声をかけて」
「背中を摩ったんだ……。」
「思い出してくれたのね!」
「良かった……嬉しい。」
「そう、颯太君は私の背中を摩りながら」
「大丈夫ですかって声をかけてくれた。」
「そして私は必死に声を出したの」
「カバンの中にある気管支拡張薬を」
「出して欲しいと。」
「うん。」
「もうちゃんと覚えてる。」
「俺は徳井さんの声が聞き取れないから」
「口元まで耳を寄せて聞き取った。」
「そして、気管支拡張薬をカバンの中」
「から出せと分かって俺はカバンの中」
「から気管支拡張薬を探して徳井さんに」
「渡したんだよな。」
「そうよ。」
「私は颯太君が見つけてくれた」
「気管支拡張薬を奪いとって」
「必死で吸って何とか落ち着いて」
「命取りとめれた。」
「颯太君は完全に動けるようになるまで」
「私の横に居てくれて背中を摩って」
「くれたんだよね。」
「そして、私の体調がだいぶん良く」
「なったら颯太君安心な顔して」
「電車乗って去って行った。」
「あの後も体調は大丈夫だった?」
「お陰様であれからは発作もなく」
「無事に友達の家に行ってから」
「お家に帰ったわよ。」
「この事未だに親には内緒にしてるの。」
「お父さんに怒られるの嫌だものw」
「ふははは!」
「お父さんに怒られるの嫌だって」
「子供かよw」
「颯太君……颯太君の笑った顔素敵ね。」
「あっごめん///私思った事すぐ」
「口にしちゃう悪い癖があって。」
「良いんじゃない?」
「猫被るよりかは全然良いと思うけど。」
「ありがとう……。」
「でも、私今日初めてやっとあなたの」
「名前知れて良かったわ。」
「あれからね、颯太君に会えるかも」
「わからないのにあのホームで」
「待ち伏せしてたのよ。」
「お礼言いたくて……あと会いたいと」
「思って……だけど全然会えないんだもん」
「半年経って諦めちゃったの。」
「半年も!?」
「俺、あの駅たまたま用事で利用した」
「だけであれからはあの駅は利用して」
「ないんだよ。」
「なるほどwそりゃ会えるわけないわね。」
「だけど4年経ってこうして会えた。」
「貴方の名前も知れた。」
そう言いながら徳井華は頬を赤く染めて
ロングヘアーの髪を人差し指でクルクルと
絡ませながら大人びた表情をしながら
俺を見つめた。
この感じ……わかる……きっと
好かれているのだろう。


