「雫、それじゃ雫の腕疲れるから」
「俺そっちに行くわ。」
「えっ?」
近藤君は私のところに行くわと言った
すぐ本当に私の傍に来ていた。
そして近藤君は…
「いただきます。」
そう言って私の口元近くにある
キャラメルクレープをひと口齧る。
その距離、クレープがなかったら
唇と唇が触れそうな距離にある。
こんな近くで近藤君を見たことがなく
私は何故か急激に恥じらいを感じ
目を下にそらした。
「うん本当だ、キャラメルクレープ」
「美味いな!」
「で……でしょ?」
「良かった……近藤君の口に合って。」
「俺のもあげる。」
「ありがとう……。」
私の恥じらいがまだ消えぬまま
近藤君は私にマンゴークレープをひと口
あげると言うのだけれど……
マンゴークレープ渡してくれない。
「ん?雫こっちに来ないと」
「マンゴークレープ食べれないぞ?」
やはり近藤君は俺の傍まで来てと言って
いた。
近藤君って結構Sっけあるよね。
どうしょう恥ずかしいのまだ止まんないよ。
だけど近藤君は目で急かしてくる。
私は意を決して近藤君の口元近くに
あるマンゴークレープを齧った。
「ごち……そうさまでした。」
「どう?マンゴークレープの味。」
「美味しかった。」
「雫?顔真っ赤……。」
「もしかして俺にドキッとしてくれた?」
雫の顔が真っ赤に染まっている。
そんな雫が可愛くてたまんない。
さらにドキドキさせたくなる。
もっと俺にドキドキして欲しいと
願ってしまう。
颯がいるのに……颯に悪いと思うのに
そんな願望だけが頭を支配していた。
「してないよ!」
「はいはいそ言う事にしとくわ。」
「近藤君の意地悪!」
「恥ずかしい事ばかり言わないで。」
「照れてる雫が可愛くてついな?」
「近藤君は小悪魔だw」
こんなほのぼのした会話の後
私と、近藤君はクレープを食べ終わり
電車で帰った。
今日も近藤君は家まで送ると言ってくれた
けど私は遠慮した。
これ以上近藤君といると調子が狂う。
私は颯太君の彼女で私は颯太君が大好き。
だからやはり違う男の人に送って
もらうのってダメな気がする。
あー……早く颯太君に会いたいなぁ。
3月頃から颯太君はお父さんの仕事を
ちょいちょいお手伝いしている。
前みたい毎日電話する事も少なくなったり
デートも減った。
美桜とかみんなには平気、大丈夫だと
笑顔で言っているのたけれど本心は
とてつもなく寂しい……。
LINEを開くと既読にはなっているもの
返事もなかった。
私は家を着いてお風呂に入って落ち着くと
勇気を出して颯太君に電話をする。
コール音が部屋にも響くような静かな
私の部屋でただただコールだけが鳴る。
10秒ほどでコールが鳴りやむ。
「颯太君!!」
「こん…!」
留守番電話に接続します。
御用のお方はぴーっと言う発信音の後に
お申し付けください。
颯太君は電話には出なかった。
留守電で私は留守電に伝言を残さない
ままで電話を切った。
電話を切った瞬間涙がは溢れ出す。
すると私のスマホから着信が鳴りだし、
颯太君からだと思いスマホの画面を
見るとそこには……。
どうしてあなたはこのタイミングで
かけてくるのだろう。
最近あなたは私が弱っている時に必ず
元気をくれる。
「雫?俺だけど。」
「近藤君……?」
「さっきは付き合ってくれてありがとう」
「楽しかったよ。」
電話をかけて来たのは近藤君だった。
電話がかかってきた時には涙は自然に
なぜだか止まり私は溢れ出てた涙を
拭きながら笑顔で応えた。
「なぁ、雫何かあったのか?」
「声がいつもと違う……。」
「どこか寂しさを感じる声な気がして。」
近藤君にはお見通しだった。
なんでそんなに私の事わかるのだろう。
最近、颯太君より近藤君が気付いてくる
のがわかる。
とりあえず誤魔化さないと……
心配させてしまうよ。
「近藤君、気にしすぎだよ。」
「全然寂しくないよ!」
「ところでどうしたの?」
「あっうん……さっき言い忘れてた」
「事があって。」
「言い忘れてた事?」
「雫、好きだよ。」
「うん……ありがとう。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
私がそう応えると近藤君は電話を切った。
2月のバレンタインで私は近藤君の
気持ちを知った。
彼は私の事を好きだと言う。
私に颯太君が居たとしても好きのままで
居たいと……。
その後はこんな風にさり気なく私に
気持ちを伝えてくる事がある。
その度に私はありがとうっと言う言葉
しか言ってあげれないのがとても
胸が痛む。
この先……近藤君が新しい恋を見つけれ
るまで私なりに近藤君の気持ちに応え
られる範囲で応えてあげたいと思う
ようになった。


