私は近藤君に行き方を説明し、
その後すぐ近藤君と星蘭高校前の停留所に
停まってるバスに乗り込んだ。
そのまま後ろの座席に行き横並びで
腰を下ろす。
車内は意外と空いている。
それもそうだったまだ昼の12時前に
時計は針を向けていた。
バスが出発するとやはり電車よりバスの
方が車内は揺れる。
近藤君との距離は肩が触れるか触れないか
の境い目の距離でバスが揺れる度に
2人の肩が触れる。




「近藤君…バス結構揺れるね。」
「私もう少しこっち行くね。」



そう言って雫は俺から少し距離を空けようと
する。
それがものすごく切なくて寂しくなる。
だから俺は距離を空ける事を拒んだ。



「行くなよ……このままが良い。」



近藤君は私の目をまっすぐ
見つめながらそう言葉を発していた。
思わずの事で私は心臓がドキリと
跳ね上がる。
この不意打ちずるい。
そんな事言われるの恥ずかしい。



「うっうんわかった。」
「だけど近藤君狭くないの?」
「揺れる度に肩が当たるから迷惑かと。」


「迷惑って俺が思ってたら」
「俺から離れるつっーの。」
「雫は気を使いすぎだから」
「俺に気を使うなよ。」



「わかったありがとう。」
「近藤君優しいね!」




「雫だけにな。」



「つっ!!!」
「近藤君ごめんこれ以上恥ずかしい事」
「言わないで……困る。」




「ふはは!」
「雫は本当すぐ顔に出るね。」
「正直でそう言うの雫の長所だな。」



「へへへ///そうなのかな……?」




「雫次降りるよ。」


「あっ、うんボタン押すね。」



こうして私達は水戸でバスを降り、
そのままクレープ屋さんに直行した。
クレープ屋さんは平日にも関わらず
学生のお客さんがそこそこ並んでいる。
私達も続いて並んで順番を待っていると
前の女子高校生2人が必要以上に私達の
事をチラチラと見てきた。
そして、彼女達は何かコソコソと話し
ているのはわかった。
そして私は聞こえてきた。

ねぇ後ろの男の人めちゃくちゃかっこいい
なぁ。
私の理想の人なんだけどなぁ。

でも彼女持ちじゃん。


ねぇー。
良いなぁあの彼女……。
羨ましい……。




かっ!彼女!?
勘違いされてる!
あのぉー私は彼女じゃないんです。
私には颯太君がいますって言いたい
なぁ。
だけどそんな事は知らない人に言える
勇気もなく私は黙ったまま下を向いて
いたら後ろにいる近藤君が私の肩を
軽く叩いた。



「雫、これみて雫が好きそうな」
「小説この前見つけたんだ。」





雫は下を向いたまま何故か黙りして
上の空。
きっとこーゆ時の雫は何か考え事を
している時だと知っている。
だから俺の方に向いてほしくて俺は
1週間前に本アプリで見つけた
雫好みの小説を見せた。



「小説!?近藤君見せて!」


雫!!?
雫は勢いつけて俺のスマホの画面に顔を
近づいてきて嬉しそうに俺に微笑み
かけてくる。
これ…ヤバい……相当ヤバい……
こんな至近距離で微笑ましい顔されたら
抱きしめたくなる。
俺は必死で冷静を装った。
どうしたらいい?めちゃくちゃ幸せだ。


「これ、どう?面白そだろ?」



「うん!父親と娘の体が入れ替わって」
「色んなハプニングを乗り越えて」
「行く物語なんだね。」



「雫さ、ファンタジー系も好きって」
「言ってたけどコメディ系も好きって」
「前言ってたからこれ、コメディも」
「含まれてるからピッタリだと思って。」




「それ、近藤君いつ発売?」
「私、買いたい!」