「そっか…。」
「あっ、雫そこ危ない。」
俺は咄嗟に雫の手首を持ち俺の傍に
引き寄せた。
その理由は雫は俯いたまま前を
向いていなかった為、走ってくる男子生徒に
気付いていなかった。
このままだとぶつかって怪我してしまう。
相手もこちらには気付かずグループと一緒に
喋りながら走っていた。
「雫大丈夫か?」
「あっ、ありがとう近藤君助かったよ。」
「どういたしまして。」
「それより早く長谷川のクラス行かないと」
「長谷川寂しがるぞ。」
「そうだね!」
そう言った時近藤君の左手は私の手首から
離れた。
そして私の右手首にはまだ温もりが
ポカポカと残ったままになった。
「美桜!」
「雫~!」
「あれ?近藤君も一緒?」
「長谷川、俺は下駄箱まで一緒。」
「あっ!なるほど。」
なるほど…長谷川君少しでも雫と
一緒に居たいんだ。
仕方ないなぁ…颯太君と雫が一緒じゃない時
あまりないから今日は近藤君に譲って
あげよう。
近藤君、雫に告白してから頑張ってるみたい
だしね。
「雫ちょっと行く前にLINE」
「だけして良い?」
「うん全然大丈夫だよ!」
「兄ちゃんに?」
「まぁ、そんなところ。」
私は近藤君にLINEを素早く送った後、
優君にもLINEを素早く送った。
俺のズボンのポケットからスマホが鳴る。
そのままスマホを取り出し画面を
開けると長谷川からのLINEだった。
……はっ!?
「とりあえず学校出よう。」
「そだね。」
こうして私達は下駄箱まで行き近藤君と
別れようとした時、美桜が口を開いた。
「あああ!」
「なっ!?何?美桜どしたの?」
「大事な用事あったの思い出した!」
「えっ?!」
「今日、お母さん体調悪くて寝込んでて」
「家の事私がしないといけないんだった。」
「それは大変だよ美桜!」
「うん、私はお薬や色々食料品買って」
「帰るから近藤君、雫の事お願いね。」
「近藤君に迷惑かけれないから」
「私1人で帰れるよ美桜。」
「せっかくだから2人で行ってきなよ!」
「明日感想聞かせてね!」
「それじゃまた明日ね!」
そう言って長谷川は嵐のように去って
行った。
雫は呆然と立ち尽くしてる……。
雫は信じてるんだろうなぁこの事。
俺は本当の事を知っている。
さっき長谷川から送られてきたLINEの
内容はこうだった。
近藤君!雫と今日クレープ一緒に行って
おいでよ♡
少しでも雫と一緒に居たいの見てたら
バレバレだよ?
私がうまく口実作ってあげるから!
今度、アイス奢ってね!
あの場面でよくこんな事思いつけるよな
と俺は関心する。
しかも長谷川には俺の思ってる事が
お見通しみたいで気を使わせてしまった。
この長谷川にもらったチャンスちゃんと
使おうと俺は長谷川に感謝しながら
雫に話しかけた。
「雫、長谷川もああ言ってるから」
「クレープ行ってみよう。」
「だけど近藤君迷惑じゃないの?」
「俺がいつ迷惑だって言った?」
「それよりも俺、嬉しいんだけど?」
「雫とクレープ行けるの。」
「うん嬉しいありがとうそう」
「言ってくれて。」
「だけど、行く前に颯太君にこの事」
「連絡しとくね。」
「あっ、うん……だよな。」
「颯心配するだろうし。」
「俺からも入れておくよ。」
私は颯太君に今日美桜が急用があり
クレープ行けなくなった事。
美桜が私の事心配して近藤君
に一緒にクレープ行くのを
頼んだ事をLINEで送った。
颯太君……LINE見れる時間あるかな……?
「近藤君、美桜の分まで楽しも!」
「そうだな。」
「でもそのクレープ屋はどこにあるの?」
「星蘭高校前のバスから2つ目の」
「水戸停留所で降りて十字路の交差点を」
「まっすぐ渡った商店街の入口すぐ」
「右手にあるよ。」


