「なに鏡突っ立ってんだよ」
私は鏡に近ずき、コンタクトレンズを入れていた。起きたばかりだからか、全然入らない。
「何って、コンタクトつけてるの。」
「別に、眼鏡でも良いじゃねぇかよ、中学校の頃は見た目なんて気にしてなかったくせに。」
そこを言われると痛い。所謂高校デビューなのだ。小中と陰キャだった私にとって、キラキラとした学校生活が憧れだったのだ。
元から人気者の玲にはわかるまい。
「私だって、花のJKよ?!見た目って大事なんだから。じゃあ玲は、私が中学のままでモテると思う?」
「ハッwむりむり、てゆうか、今も前も変わんねぇよ。こんなやつのどこがいいんだか」
鼻で笑いながら言ってきた。くっそムカつく。そう言っているうちにコンタクトもついた。
次は二重を作って、バレないようにパウダーをつけて、色つきリップ塗って、髪型はどうしよう。
「いつも思うんだけどさ、それするんなら早く起きろよ。時間見ろじ、か、ん」
「まって、後ちょっと、え、まっ!!」
がしりとつかまれて担がれた。
どれだけ抵抗しても降りられない
「このまま電車までダッシュだ」
「はぁ?!せめてお姫様抱っことかさぁ、てゆうか髪!!ボサボサなの!!」
「誰も見てねぇよ」
周りの人達に凝視されながら、駅で乱暴におろされた。
「はぁ、日焼け止めも塗れなかったし最悪。ただれたらどうしてくれんのよ」
「おら、これ」
何かをポイッとされた。思わず掴むと、それは日焼け止め。あーー、こう言うとこ。こう言うとこがあるから憎めないんだよなぁ。
「……ありがと」
「おう」
電車の中では、2人とも黙ったままだった。

