アルバートとの婚約話が出てから今日まで、破滅フラグ回避の為にと深く関わらないように気をつけてきた。

 それらの行動は全て、アルバートに怪しまれないよう注意してかわしてきたつもりだった。

 ミアが現れる前からずっと。

「さ、避けてなんて」

「ハッ! 避けていただろうが。せっかく僕が誘ったデートでもどこか距離をとっていたことに、僕が気付いていなかったと思ってたのか?」

「だ、だからそれは、私より相応しい人が現れるからと」

 婚約の話を一度断った時の理由を口にするも、途中で遮られてしまう。

「誰が僕に相応しいかは僕が決める。お前じゃない」

 上から目線のアルバートに、アーシェリアスの頬がひくついた。

(そう! こういうところがファーストプレイからダメだったのよ!)

 公式サイトのキャラクター人気投票のコメントでは、『俺様な態度の中に垣間見える弱さや優しさが最高に魅力的!』などと書かれていた。

 確かにそういう面はある。

 だが、そこに魅力を感じなかったアーシェリアスは、威圧感を放つアルバートを冷静な目で見据えた。

「それで、アルバート様はミアを選んだのでしょう?」

「ああ、そうだ。だがミアは……」

 らしくもない歯切れの悪さで俯くアルバート。

「……アルバート様?」

 どうしたのかと首を傾げたタイミングで、市場の人波をかき分けるように先ほど探していた人物がやってきた。