「ん? そなたは……」

 呼び止められた神様は、記憶を辿るようにアーシェリアスをじっと見つめる。

「ああ、我を追って死んだ人の子かー」

「そ、そうです。覚えててくれたんですね」

 前回会ったのはアーシェリアスが住む屋敷の庭だった。

 転生させるキャラを間違えられたことを伝えたところ、お詫びにとシーゾーをもらったのだ。

 あれからまだ半年も経っていないのにすでに懐かしい。

「またこの世界を探訪中ですか?」

「そう。なんとなく気になってねー」

「ファレ乙の世界を気に入ったってことですか?」

「そうじゃないと思うんだなー」

 うーんと顎に手を当てて考えるマイペースな神様に、アーシェリアスは苦笑する。

「そんな他人事みたいに」

「他人事……そうかも。その感覚に近い」

「んん? ごめんなさい。神様の話がちょっとわからないんですけど……」

 アーシェリアスは、うむうむとひとりで納得している神様に困惑し眉間を寄せる。

 すると神様はにっこりと笑った。

「我、記憶がないんだ」

 その言葉に一瞬、アーシェリアスの思考がフリーズする。