この料理コンテストは、市場の食イベントの一環として開催されており、コンテスト終了に合わせて広場は立食パーティー会場に変わる。
市場には色とりどりに染まる屋根の露店が軒を連ね、あちこちから食欲を誘う香りが鼻と胃袋を刺激している。
観客席にテーブルがセッティングされていく中、ザックは「早いところ脱ぎたいんだがな……」と、女装への愚痴を零した。
「さすがに優勝者が欠席じゃ盛り上がりに欠けるだろうし、もう少しだけ頑張って」
「見てください、アイザック様! マンゴーが売っていました!」
いつの間に離れていたのか、大量のマンゴーが入った紙袋を抱えたエヴァンが笑顔で戻って来た。
「アーシェ! ボクもちょっとお店見てきていい?」
パーティー会場は出入り自由だ。
時間にも余裕があるし問題ないだろうと思い、アーシェリアスは微笑んで「いってらっしゃい」とノアを送り出した。
そうこうしているうちに、優勝したザックことザクリーンは記者と思しき身なりの男性からインタビューを受けている。
女性声を意識して必死に答えているザックに思わず笑ってしまった時のこと。
賑わう市場の人波に、ふと知っている顔を目にした。
(……あれ……あの人どこかで……)
赤みがかった髪色の青年を目で追い、思い出したアーシェリアスは目を大きく開いて駆け出した。
「神様!」
市場には色とりどりに染まる屋根の露店が軒を連ね、あちこちから食欲を誘う香りが鼻と胃袋を刺激している。
観客席にテーブルがセッティングされていく中、ザックは「早いところ脱ぎたいんだがな……」と、女装への愚痴を零した。
「さすがに優勝者が欠席じゃ盛り上がりに欠けるだろうし、もう少しだけ頑張って」
「見てください、アイザック様! マンゴーが売っていました!」
いつの間に離れていたのか、大量のマンゴーが入った紙袋を抱えたエヴァンが笑顔で戻って来た。
「アーシェ! ボクもちょっとお店見てきていい?」
パーティー会場は出入り自由だ。
時間にも余裕があるし問題ないだろうと思い、アーシェリアスは微笑んで「いってらっしゃい」とノアを送り出した。
そうこうしているうちに、優勝したザックことザクリーンは記者と思しき身なりの男性からインタビューを受けている。
女性声を意識して必死に答えているザックに思わず笑ってしまった時のこと。
賑わう市場の人波に、ふと知っている顔を目にした。
(……あれ……あの人どこかで……)
赤みがかった髪色の青年を目で追い、思い出したアーシェリアスは目を大きく開いて駆け出した。
「神様!」