皆は大丈夫だろうかと、アーシェリアスは仲間たちの進捗を確認する。

　無口でクールビューティーなザクリーンは、ちょうど手を止めたところだ。

「これで、完成でーす！」

　アイドルの料理番組のように振る舞うノアも、無事に仕上げることができたらしい。

　そして、一番心配な筋骨隆々のエヴァはというと。

「さすが俺だっ……今すぐ食べたい。これは間違いなく美味いはずだ……！」

　女装しているにも関わらず「俺」と言い、自分が手掛けた料理を絶賛していた。

　兎にも角にも、全員が時間内に完成させることができたようで、アーシェリアスは安堵する。

「お時間になりました！」

　場をクライマックスへと導くが如く張り上げた司会者の声に、挑戦者たちが皆手を止める。

「それでは、各挑戦者の料理を審査員の方々に試食してもらいましょう！」

　スタッフが挑戦者の料理を順に審査員の元へと運んでいく。

　ひとり目は、亜麻色の髪をひとつに纏めた活発そうな若い女性の料理だ。

　エスディオの山の幸である果物を使い、デザート感覚で食べるグラタンとのこと。

　確かに、ファーレンではまだないので斬新だ。

　審査員らは頷きながら口に入れて各々の感想を述べる。

　その後も仲間以外の挑戦者渾身の斬新料理が評価されていき、ついにアーシェリアスたちの番がやってきた。