自警団はファーレン王国の管轄にあり、詰め所はエスディオの東西南北に設けられている。

 アーシェリアスたちが向かったのは西門の詰め所だ。

 街のメインゲートにあり、怪しい人物が出入りしようものならすぐに駆け付けられるよう配置されている。

 一行はエヴァンを先頭に詰め所の扉を叩いた。

「失礼する! ここの責任者はいるか!」

 エヴァンが大きな声で呼びかけると、奥から同じくらいの元気な声が返ってくる。

「その無駄にバカでかい声は兄貴⁉」

 ひょっこり顔を出した青年の姿に、アーシェリアスは目を丸くした。

(ちょ、ちょっとちょっと⁉ めちゃくちゃ見覚えのある人なんですけど⁉)

 明るい性格を表すような毛先の跳ねた鮮やかな赤い髪。

 人懐こい笑顔と、口元から覗く白い八重歯。

 見慣れた制服を纏ってはいないけれど、エンディングスチルにて身につけていた騎士服姿は今でも覚えている。

 エヴァンが青年の顔を見て満面の笑みを浮かべた。

「おおっ! ジェイミーじゃないか!」

 嬉しそうな声でエヴァンが声にした名に、アーシェリアスは確信する。

(やっぱりジェイミー・クラーク!)