神界とは神々が住まう地であり、神には階級がある。

 その頂点に君臨するのが神王と呼ばれる神界の王だ。


 神王には息子が6人いるが、特に可愛がっているのが末っ子の神、ハクジュだ。

 ハクジュは好奇心旺盛な性格で、幼い頃から神界のあちこちをお供を連れて見て回った。


 しかし神の人生は長い。

 やがて神界を見尽くしてしまったハクジュは、別の世界に興味を持つようになった。

「そういえば、兄上たちが神アプリを使って時々別世界旅行してるっけ。我も行ってみたいなぁ」

 黄色い空を見上げ、ハクジュはまだ見ぬ世界に思いをはせる。

 ハクジュは連絡用にスマホ(神界用)は持っているが、神アプリはまだ入れさせてもらえていない。

 心配性の神王が『子供にはまだ早い』と許してくれないのだ。

 だが、ハクジュももうすぐ成神。

 成神すれば神アプリを使ってもいいと約束している。

 ハクジュはその日を今か今かと待ち続け、そして──。

「うわー、ここが人間界かぁ」

 成神し、念願叶って神アプリを手に入れたハクジュが最初に向かったのは人間界だ。