破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

「エヴァン」

 ザックに促されたエヴァンは「は」と答え、広間の扉に向かって声を張り上げた。

「ジェイミー!」

 呼ばれた弟ジェイミーは、縄で縛ったひとりの男を連れてくる。

 その顔を見て、ノアが長い睫毛をパチパチと瞬かせた。

「あいつ、スタッピーってやつじゃない?」

「ほ、本当だ」

 鍾乳洞で灰鷹の頭領と一緒にいた男を思い出し、アーシェリアスは驚きつつも成り行きを見守る。

「この者は、巷を騒がせていた盗賊団、灰鷹の一員だ。先日、俺たちは罠にはめられ、御者に扮したこの者に攫われた」

 ザックが語るそれは、ミアにも覚えがある事件だ。

 自分のせいで巻き込んでしまったと嘆いていたのだから。

 だが、様子がおかしい。

 ミアはスタッピーを見ようとしないのだ。

 顔を背けるミアにかまわず、ザックは話しを続ける。

「この者の話によると、誘拐はある女に依頼されたらしい」

 ミアの身体ががたがたと震えていることに、誰もが気付いていた。

「スタッピー。その女の顔を覚えてるか?」

「へ、へい。覚えてます」

 スタッピーがミアを見る。

「その女です」

 告げられたミアは頬を引き攣らせて首を横に振った。

「ひ、人違いよ! 私はそんなことしてません!」

「いや、あんただよ! 前金で俺にこれをくれたのが証拠だ!」

 興奮したようにスタッピーが首元から引っ張り出したのは、大きなルビーのネックレスだ。

 すると、アルバートの双眸が驚きに見開かれる。

「それは……僕がプレゼントした……」