破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

 自分も食べてしまったと顔を青ざめ、喉を押さえる者も見える。

 アーシェリアスを見る多くの瞳には、軽蔑、侮蔑、恐怖といった負の感情が滲んでいる。

「わ、たしは……」

 毒なんて入れていない。

 けれど、それを証明することもできず、へたり込み、言葉を紡げずに押し黙ってしまう。

「何事ですか」

 女王の声が聞こえると、モーゼが海を割るように人々が敬って下がり道が作られた。

 その道を女王が歩き出した時、誰かが「陛下のお命を狙ったのでは」と零した。

 しかし女王は動揺せず、倒れるミアと散らばった琥珀糖を見下ろし、やがてアーシェリアスに視線を移す。

 ノアが庇うようにアーシェリアスの肩を抱き寄り添った刹那。


「アーシェは毒なんて入れない」


 凛としたザックの声が広間に響き、戸惑いに揺れていたアーシェリアスの瞳の焦点が定まる。

 割れていた道の奥に、ファーレンの王族のみが羽織ることのできるぺリースを肩からかけたザックが立っていた。

 後ろにはエヴァンも控えており、ザックは白とエメラルドグリーンのベリーズを靡かせ、颯爽とアーシェリアスの元へと歩み寄る。

 いつの間に紛れていたのか、アーサーがそっと女王の隣に並んだ。