破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

「うへぇ、なにあの性格ブスっぷり。アルバートって、あんなのがいいの?」

 毒を吐くノアの横で、私はそっと首を捻った。

(やけにあっさりしてる)

 以前ならネチネチと嫌味を言われたものだが、ノアがいるから控えたのだろうか。

(ハッ⁉ もしかして、破滅フラグはもうとっくに無くなってるとか?)

 ノアが琥珀糖をひとつ頬張り優しい甘さを堪能する隣で、そんな淡い期待をアーシェリアスが抱いた時だ。

 パリーンと、何かが割れる音がして、賑わっていた人々の視線が音のした方へと一斉に注がれる。

その直後──。

「ミア!」

 切羽詰まったアルバートの声が聞こえ、何事かとアーシェリアスとノアが駆け寄った。

 そうして、目の前のただならぬ光景にアーシェリアスは息を呑む。

 ミアがぐったりと倒れているのだ。

「ミア! どうしたの⁉」

 跪きミアを抱いて支えるアルバートが、床に転がる琥珀糖を目で示す。

「あれを食べた後、急に苦しみだした」

「え……?」

 自分が作った琥珀糖を食べたて倒れたとは、一体どういうことなのか。

 アーシェリアスは理解できず琥珀糖をただ見つめていると、ミアが息も絶え絶えといった声で「アーシェ」と呼んだ。

「……あなた……なんで、毒、なんて」

 ──毒。

 不穏極まりない響きに、貴族たちが一気にざわついた。