破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

「温まったごま油をボールの中のものに加えて……」

 熱々のごま油が合わさるとジュッと音がする。

 かき混ぜれば食欲をそそるいい香りが広がり、バレットのお腹がグゥッと鳴った。

 照れて笑うバレットと微笑み合うアーシェリアスは、仕上げに入る。

 茹で上がったパスタを湯切りし皿に広げ、炒めた具を上に乗せるとニラダレをたっぷりかけた。

「これで、ベーコンと茄子のニラダレパスタの出来上がりです」

 小皿にも盛り付けて、スタッフたちにも試食をお願いする。

「んなぁっ⁉ 美味い!」

 エストが衝撃を受けると、バレットも感心して何度も頷く。

「この味は確かにどんな料理にも合いそうだ」

「蒸し鶏との相性も良さそうですね」

 スタッフたちが口々に賞賛する中、バレットが満足そうに目尻を下げた。

「これならきっと陛下もお喜びになるはずだ。ありがとう!」

「お役に立てて良かったで……陛下っ⁉ 陛下のお食事だったんですか⁉」

「そうなんだ。プレッシャーになるかと思って黙っていたんだよ。悪いね」

 はっはっはっと笑ったバレットに、アーシェリアスは力なく苦笑した。

(まさか女王陛下の食事だったなんて。気に入ってもらえるといいけど)

 反応が心配ではあるが、きっと食べたことのない味ではあるだろう。

 あまり深く考えると胃が痛くなりそうなのでそう思うようにし、アーシェリアスは食堂用の調理を手伝うのだった。