破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

 医者の診断結果は、肩の靭帯損傷……つまり、捻挫とのことだった。

 全治一ヶ月。一週間は安静にと言われたバレットは、診療所の待合室で深い溜め息を吐く。

「一週間……困ったな」

 背を丸めて不安なトーンで零した声に、ノアが瞬きを繰り返す。

「生活が?」

「それもだが、特に仕事にね、支障が出るんだ」

「おじさん、仕事って何してるんだっけ?」

「シェフだよ。今日は遅番でそろそろ出勤なんだが……」

 話を聞いていたアーシェリアスは納得する。

 シェフで利き腕の肩が使えないのは確かに不便だろう。

「あの、バレットさん。よかったら私がお手伝いしましょうか?」

 アーサーも宰相も忙しいはず。

 宰相に会えるとしても、予定の確認、アポ取りとなれば早くても明日以降になるだろう。

 今日くらいなら助けになれるのではと思い申し出ると、バレットの双眸が希望を宿して大きく開かれる。

「それは助かるが、料理の経験はあるのかい?」

「アーシェは料理の天才なんだよ」

 本人が頷くよりも早くノアが言うと、アーシェリアスははにかんだ。

「て、天才は言い過ぎよ。でも、ある程度のことはできると思います」

 わからないことは指示してもらえれば動けるし、プロの動きには敵わないけれど。

 それでも大丈夫であればと付け加えると、バレットは満面の笑みを浮かべた。

「助かるよ! お願いしてもいいだろうか」

「はい! 頑張りますね」

 微笑んでガッツポーズを見せたアーシェリアス。

 ノアとシーゾーに宿のことを託して別れると、さっそくバレットと共に手伝いへと向かう。