破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

　テーブルにできたて熱々のコロッケとパンを並べ、一行はテーブル席についた。

「いただきます！」

　手を合わせ、皆それぞれに切り分けたコロッケを口に運ぶ。

「ん～っ！　さっくさくのほっくほく！」

　ほっぺが落ちそうだと言うように、ノアが頬を押さえた。

「コロッケとやらも実にけしからん美味さだな……！」

　エヴァンは目を閉じ、衣のカリッとした歯ごたえとジャガイモの優しい甘さを堪能している。

　そんな彼の隣で、ザックはもぐもぐと口を動かし、ウスターソースを手に取った。

「このソースがまた合うな。キャベツにかけても良さそうだ」

　それぞれに味わってくれているのを見て、アーシェリアスは嬉しく思いながらコロッケを口に運んでいると、食堂の片付けをしていた奥さんが戻ってきた。

「出来上がったのかい？　これはまた、見たことない料理だね。コロッケ、だっけ？」

「そうです。おひとついかがですか？」

　アーシェリアスがまだおかわりの分があることを告げるも、奥さんは頭を振る。

「私はいいよ。夕食提供できなかったのに貰うのは忍びないから」

　そう言って遠慮した奥さんは、「あ、そうだ」と明るい表情でアーシェリアスを見た。

「お嬢さん、コンテストに出てみたらどうだい？」

「コンテスト、ですか？」

　アーシェリアスは突然の提案にフォークを手にしたまま首を捻る。