破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

 どういうことだろうとアーシェリアスは小首を傾げてザックの言葉を待つ。

「アーシェならきっと王都に向かうことを選ぶと皆わかっていた。だから、皆支度は万全だ」

 柔らかく笑ったザックと皆の想いに、またしても心を打たれたアーシェリアス。

「ありがとう、ザック。私、皆と出会えて本当に良かったわ」

 悪役令嬢という設定のため、学園ではいつもどこか孤独だった。

 けれど、家族と屋敷で働く者たちがいてくれたから、救われていた。

(それでも、寂しかった)

 友と呼べる相手が欲しかった。

 だから、こうして今、友だと、仲間だと呼べる人たちがいることが本当に嬉しい。

(何より、大切だと思えるザックに出会えたことも)

 心から喜ぶアーシェリアスを、ザックは大げさだと笑うこともなく。

「俺も、アーシェに出会えて良かった」

 はにかみ、アーシェリアスの手を優しく取って繋いだ。