破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

 アーシェリアスは髪をひとつに束ね、キッチンに立つ。

「アーシェ、ボクも何か手伝わせて」

「俺も何か手伝えることはあるか?」

「ありがとうふたりとも。じゃあ、ノアは玉ねぎをみじん切り、ザックはジャガイモの皮を剥いてくれる?」

 アーシェリアスが頼むと、ふたりは「わかった」と声を揃え、準備に取り掛かった。

 包丁を手にするふたりの横で、アーシェリアスは鍋に湯を沸かし、キャベツを千切りにし、トマトをざく切りにする。

 その手際の良さに、食堂の片付けをしている奥さんが感心した声をあげた。

「あんた、どこかの貴族のご令嬢じゃないのかい? 随分手馴れてるじゃないか」

 包丁さばきを褒められ、アーシェリアスがはにかむ。

「昔から料理は好きなんです」

「アーシェ、玉ねぎはこんな感じでいい?」

 ノアがまな板の上に乗るみじん切りされた玉ねぎを見せた。

「バッチリよ! 次はそれをフライパンで炒めてくれる?」

「了解!」

 ノアはフライパンに油をひいて熱し、玉ねぎを炒め始める。

 そのタイミングで、ザックが皮を剥き、四等分に切ったジャガイモを沸騰した湯に入れた。

「奥様! お塩とバターをもらってもいいですか?」

「どうぞどうぞ。というか、一体何を作ってるんだい?」

 湯に小さじ一ほどの塩を入れ弱火にしながら、アーシェリアスは笑みを浮かべる。

「コロッケです」

「コロッケ? 初めて聞くね」

 奥さんが首を傾げる間にも、手を休めず調理を進めていくアーシェリアス。