破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

 盗賊だけど、そこまで悪党というわけでもなかった。

 そんな思いは、今は口にせず黙っておくことにする。

 人身売買や、物を盗んで人を困らせていたことは違いないからだ。

「まあ、お前も無事でよかったじゃないか」

「ええ。アルバート様たちのおかげです。でも、今回は小麦粉爆弾もなかったから、ひたすら守られるだけで申し訳なかったけど」

「小麦粉、爆弾?」

 なんだそれはと訝しむアルバートに、アーシェリアスはあははと苦笑する。

「こっちの話です。それよりアルバート様、ここ、怪我してますよ」

 アーシェリアスはチョンチョンと血の滲むアルバートの二の腕を指差して知らせた。

「別に、これくらいの傷どうってことない」

 フンと鼻を鳴らして何でもない顔をするアルバート。

(あー、そうそう。アルバートってこういう人なのよね)

 プライドが高いアルバートは、ゲームのシナリオでも強がることが多かった。

『この僕に乗り越えられない壁はない!』と、意地を張って。

 でも、ふと弱いところ見せてファンの心を掴むという。

(私は、「ごめん、弱いところ見せて」って困ったように微笑むレオが好みだから全く響かなかったけど)

 自分はとことんレオ派だなと思いつつ、アルバートを見上げる。

「だめですよ。小さな傷でも悪化するかもしれないんですから」

 気にかけ、医療班はいないのかと辺りを見回すアーシェリアス。