破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

 相手の命を奪いはしないふたりの絶妙な戦い方を間近で見て、アーシェリアスはその技量にただただ感心していた……のだが。

「アーシェ! 危ないっ!」

 ノアの悲鳴じみた声にアーシェリアスは何事かと目を剥く。

 ザックが振り返ると、別方向から来ていた盗賊がアーシェリアスに向かって弓を引くのが見えた。

「アーシェ!」

「よそ見とは余裕だなぁ!」

「クソッ!」

 新たに現れた盗賊と剣を打ち合うザックが歯を食いしばる。

 そうして、感情の昂るままに「エヴァン! ジェイミー!」と騎士たちの名を呼んだ。

 切羽詰まった声にクラーク兄弟が反応する。。

「モフー!」

 怯えるシーゾーをきつく抱き締めるアーシェリアス。

 そんなアーシェリアスの背に、ノアが必死の形相で覆いかぶさった。

 ついに矢が盗賊の手から放たれた、その刹那。

 鋭い目つきのエヴァンがふたりの前に駆け付け、襲い来る矢を剣で払って落とした。

 直後、走り出していたジェイミーが「うおおおぉぉっ!」と腹の底から声を出し、次の矢を番えようとした盗賊に斬りかかる。

「ひいいいっ!」

 逃げ惑う盗賊が大きく振るったジェイミーの剣に倒れて地面に伏すと、ようやく辺りは静かになった。

 対峙していた盗賊を倒したザックが、慌ててアーシェリアスとノアの元に駆け付ける。

「怪我は⁉」

「だ、大丈夫。ノア、ありがとう」

 心臓がバクバクするのを感じながら伝えると、ノアはへにゃりと尻餅をついた。

「アーシェに怪我がなくて良かった~。心臓が口から飛び出るかと思ったよ」

 ふたりの無事な様子に、ザックは安堵し息を吐いた。