キミから「好き」と、聞けますように。


だから、なのかもしれない。

温森があの時、自分の障害について話すときにあんなに俺が真剣になったのも。



『ちょ……聴覚……』



『聴覚』という言葉で、俺は思わずビクンとするところだった。

温森も補聴器をつけていないだけで、軽度の聴覚障害なのかと思ってしまったのだ。


……しかし、温森には説明に続きがあった。



『_____情報処理障害なの』



聴覚情報処理障害?


聴覚障害とはどう違うんだ?


あの時、温森が教えてくれた聴覚情報処理障害。

そして、いじめにあっていたこと。


診断名や症状、いじめの内容は違うといえど、あまりにも紫杏に似すぎていた。


まるで、紫杏に素直になれなかった俺に、もう一度チャンスをくれるかのように温森は現れてきてくれたみたいだ。


今度こそ、俺は守りたい女の子に対して素直になりたい。


もちろん、そう思い始めた時には心の中に揺らぐ俺もいた。