ケーキを食べ終えた後、寛太はわたしを後ろから抱きしめた。



「好きだよ、紗雪」



耳元で、甘い吐息とささやき声を残す寛太。

寛太の甘い魔法をかけられて、人形のように動けなくなるわたし。



「こんなことくらい、紗雪が飽きるくらいに俺は言い続けるつもりだから」



寛太は、どんどん甘い魔法をかけてくる。
そう、ケーキよりもずっとずっと甘い魔法。


甘い魔法にかけられたわたしの口角は、静かに上がった。


好き、か。
その言葉を聞き続けることに飽きる日なんて、絶対に来ないだろう。


これからもキミからの『好きは』聞き続けていたい、ううん、聞き続けていく。


これからも、ずっとずっと。


キミから『好き』と、聞き続けていられますように。