「ね、ねえ寛太。ちょっと、今日うちのクレープ屋さん寄ってきてくれる?」
「うん」
わたしは、寛太と一緒にお母さんのクレープ屋さんへと向かった。
昨日と同じように、クレープの生地にブラウニーやイチゴアイスを乗せていく。
特別として、寛太の大好きなフルーツも入れておいた。
「よし、できた!」
わたしは、具を乗せた生地をくるくると巻いた後にハート柄の紙で包み、寛太に渡す。
「美味い」
寛太は、わたしが作ったばかりのクレープを静かに咀嚼してからそう言った。
「ほんと? よかった!」
か、可愛いな……。
寛太、口の端っこにイチゴアイスやチョコクリームがついているんだもの。
「ほら」
寛太は、自分の歯形がついたクレープをわたしに渡す。
わたしも、その部分を食べた。
美味しいはずなのに、味のことよりも気にしてしまうことがあって、わたしの鼓動が止まらない。