大沼くんについていくと、たどり着いたのは体育館の裏側だった。
「温森さん」
わたしのことを呼ぶ大沼くんは、なぜか切なく笑っていたように見えた。
「うん?」
「いやあ、変わってないね」
「えっ?」
「くるっとした感じの、色素が薄くて綺麗な茶髪とか。小さくて筋が通った鼻とか、さ」
大沼くんの顔がほんのり赤くなった。
「ふふっ」
そんなに見られていたなんて、なんだか恥ずかしくなる。
変わってないって、容姿のことか。
でもそれを言ったら、大沼くんこそ、そうだよ。
見れば見るほどそう思うもん。
相変わらず、変わってないなぁ。
日に焼けた、小麦色の肌。
少し寝癖のある、はねた髪の毛。
太い首に、広い肩幅。
あの時の面影が、はっきり残っている。
「俺……小学生の頃からずっと……。温森さんのことが好きでした!」
静かな場所で、大沼くんの声だけが響き渡る。
「……それを言いに来ただけなんだ」
わたしが何も言わないことをよそに、大沼くんは1人で喋っている。
「それが言いたくて、俺は来たんだよ」



