その椅子のそばにいたのは、大沼くんだった。
「お前なあ……! わざとだろ! こんなのが不味いとかあるか! じゃあお前だけこの学校出て、普通のスタバにでも行っとけ!」
「はあ? お前の味覚がぶっ壊れてんじゃねぇの?」
大沼くんと戸田くんには、まるでお互いしか見えていないみたいだった。
その脇には、ボーイッシュな女の子が横目でわたしを見つめている。
「おい、お前」
東條くんが、戸田くんに近づいた。
「お前、異物入ってるとか今言ったよな」
「ああ、そうだよ。言ったよ」
「温森のスイーツなら、クラスのみんなで試食したよ。みんなは美味いって言って食ってた。異物なんて入れないで作ってた。俺は見てたからな。まず、温森が人の体を壊すような人間じゃねぇことくらい、お前だって同じ小学校行ってたんだから分かるだろうが!」
淡々と言葉を紡いでいたのに、どんどん感情的になって、最後の言葉はわたしの心臓に響くくらい大きな声で怒鳴っていた。
こんなに怒る東條くん、はじめて見た。
「用がないなら邪魔になるから、とっとと出ていってくれ」
戸田くんは、チッと盛大な舌打ちをしてから教室を出て行った。



