1時間目の英語コミュが終わったとき、次のコンポジも移動しない、隣席の木村にがっしりと肩をつかまれた。
「加藤、悪いことは言わねぇ、おまえもちゃんと真面目にやれ」
 はあ?
「なに言ってんだ。おれは常になく気分爽快、大真面目ちゃんだぞ。次のコンポジのガイコツマンにだって、いびられる覚悟ばっちり。すごくね?」
 木村は首を振って、ふぅとわざとらしくため息をついた。
「恋愛すんのが勉強のジャマになるタイプじゃねえのは、よーくわかったけどな。若い子いびるのは、やめろよ。おれも朝、見ちゃったけど、加藤にはかわいいカレシがふたりいるぅ、鬼畜王子さまぁ、とか。吾川が朝からハイテンションで言いふらしてるぞ」
 あーがーわああああ。
 …ってか木村。
 恋愛ってなんだ。
 いびる? 誰を。
「おまえって、すげぇいいやつだと思いはじめてたのに、がっかりだよ。二股かけられて、ちっちゃいほう泣きそうだったじゃん。もうちっとマシな別れかた、できねえの?」
「…………」
 くらっときた。
 頭に血が上ったのか下がったのか。
 とりあえず。
「木村……、話があるから、放課後ちと時間くれ」
「やだね。おまえと恋バナなんて、ぞっとする」
 いや、だから。
「おれがホモに見えるか?」
「…………」
 ――――え?