「町田もかわいいよねぇ。加藤さんに偽カノジョは許しても、本当の女の子はいやだなんてぇ。けど、これっきりにしときなよぉ。こんなにかわいい子、外に出したらダメ。男はバカなんだから…、傷つけられちゃうよ」
 バカな男に身体も心も傷つけられた五十嵐に、こうもしんみり言われれば、女最強説も撤回しないとな、と思わないでもないが。
「…………」「…………」「…………」
 五十嵐の(かも)したしんみり気分にやられて、言葉をなくした3人のなかで一番かわいそうなのは誰かなんて、おれに決まってる。
 今や性格はともかく、外見はどストライクな女と弟にゲイだと思われているおれ。
「困ったお兄ちゃんたちだねぇ」五十嵐が苦笑して、くりくりと虎の髪をなでる。
「そんじゃ、とんちゃん。もっとかわいくなっちゃぉか」
 五十嵐がピンク色の小瓶を小さなポーチから取り出して。
 光にかざされたそれがキラキラと輝くと、虎がほぅっとため息をつく。
 ふと思い出したのは足立のピンクのマイバッグ。
「…………」
 うん。なんでそんなものを選ぶのかは正直さっぱりわからない。
 でも、ソレのかわいさはわからなくても、それを持った女のかわいらしさならわかるんだよなぁ。
 なぜだ?