「カイ、一緒に寝ようよ」

例の猫の本を読み切ったらしいカイは満足気にダンボールへしまう。

もう随分前にご飯を食べ、お風呂にも入った私はそろそろ眠くなってきていた。

「どうして?」

何度も性行為はしても、何故か同じ布団で寝ることは無かった。

「最近、寒い。
くっついて寝るとあったかいんだよ」

「そうか」

けれどこうして誘えば従ってくれる。

もっと早く言い出せばよかった、と思った。


そしてその夜、またカイはユキ、と呟いた。

熱にうなされてた時に、有耶無耶にしていた嫌な記憶。

カイは、ユキを忘れられないのかもしれない。

私が、忘れさせてあげなくてはならない。