「ハスナ。
ネコってどんな?」

随分と集中して、カイが読み終わった小説を読んでいた私を現実に引き戻したのはなんとも素朴な疑問だった。

ずっとここにいるんじゃ知らないのも無理はない。

どうやら今は、猫に関係する本を読んでいるらしい。


「どんな…うーん。
毛がふさふさしてて、ちょっとツリメ?なイメージかな。
あと、鈴!鈴つけてる」

「鈴?それは義務?」

「いや、つけてない子もいるけど…だいたいつけてる」


私の説明でカイが理解したとも思えないが、また本に目線を戻した様子を見る限り、納得はしたらしい。

カイは最近、こうして質問をしてくるようになった。

一方的に私から話すスタイルばかりだった今までとはまた違う。


結露も減り、肌寒くなってきた頃だった。