私は怖くて聞けなかった。
カイがここで、一体何を見てきたのか、何も聞きたくなかった。
聞いてしまったら、私もきっとカイの言う“壊れた”状態になりかねない。
今の生活が永遠に続けばいい。
そりゃ、カイと学校生活を送れたら幸せだろう。
放課後にはカラオケに行ったり、休日には遊園地に行ったり。
たまにはそんな夢を見たりするけれど、私はもう分かっている。
ご飯を持ってくる時に一切隙を見せようとしないカイの家族。
殺されるかもしれないリスク、カイと離れ離れになるかもしれないリスクを背負ってまで叶えたい夢じゃない。
私はこのまま、何も知らずに、ずっと_。

