すっかり体調が回復してしまった私は、さすがにずっと硬い布団で寝ている訳にもいかず、気の乗らない結露拭きに勤しんでいた。
ぼーっとしながら拭いていると、いつもは目に入らないものが見えてくることがある。
「カイ、この跡はなに?」
コンクリートの壁に、4本の線が入っているのに気がついた。
私とは対称側の壁を拭いていたカイは振り返り、あぁ、と言った。
「前ここにいたヤツが、暴れた時のだろう」
ゾワッとした。
呑気な私は何かが擦れたのかと思っていたが、明らかに人が引っ掻いた痕だ。
ここには、私が想像しているよりずっと悲惨な歴史があるのかもしれない。
ぼーっとしながら拭いていると、いつもは目に入らないものが見えてくることがある。
「カイ、この跡はなに?」
コンクリートの壁に、4本の線が入っているのに気がついた。
私とは対称側の壁を拭いていたカイは振り返り、あぁ、と言った。
「前ここにいたヤツが、暴れた時のだろう」
ゾワッとした。
呑気な私は何かが擦れたのかと思っていたが、明らかに人が引っ掻いた痕だ。
ここには、私が想像しているよりずっと悲惨な歴史があるのかもしれない。

