本格的に暑い季節が始まると、私は体調を崩した。

カイのお母さんは、この蒸し暑く、恐らく40度近くある密室で布団にくるまり青ざめている私を見てもなんの反応も示さず、いつも通りご飯と日用品の交換しかしない。


カイは頻繁におでこに冷たい水を含ませたタオルを置いてくれたり、体を拭いてくれたりした。


暑さに弱い私は、急激に暑くなる室内に耐えられなかったようだ。



「カイ、ごめんね」

「いや、今までの人達はみんな来てすぐに体調を崩す。ハスナは強い方だ」

「カイは?寝込むことないの?」

「めったにない」


この環境で長い間過ごしたら、いつか慣れるものなのかもしれない。

私ももう、そのいつかは遠くないはずであると思った。