あれから、何も変わらない月日が流れた。

食べ終わったご飯のお盆のそばにナプキンのゴミ箱を置いておけばすっと持っていき新しいナプキンをまたご飯の時に持ってくる。

そのルーティンになれたということはそのやり取りをもう5回はしているかもしれない。

ここへ来て、私の生理が正常であれば半年ほど経ったことになる。


カイは相変わらず毎日本を読み、私が話しかけると相手をしてくれる。

私が要求するか、稀にカイから仕掛けてくることもあった性行為は、もうすっかり痛くなく、幸せを感じるものとなった。


カイは、今までの人は正常な判断が出来なくなって脱出を目論むと言っていたけれど、反対なんじゃないかと思う。

正常だからこそ、外の世界へ戻りたいと思う。

私は正常じゃないから、このままでいいと思ってしまう。

ここでもまた、カイの常識と私の常識は食い違っている。


「カイ、一緒にお風呂入ろう」

お風呂でスる事もあった。

常にカイと居るのに、それでも足りない。

人間の欲深さひしひしと痛感した。