離れていくカイの目には涙が溜まっているように思うが、私は知らないふりをした。

「カイ、セックスは、した?」

「あぁ」


カイは、手をつなぐ以外は全て、ヤっていた。


私は全て、初めてなのに。



「カイ、してくれない?
私、こんな変態じゃないんだよ。
全部カイが、初めてだし。
…寂しいのかも」


見開いたかいの目にもう涙は見られない。

その涙を、私が笑顔に変えてあげたい。

本気でそう思うほどには惚れていた。
依存していた。


「でも、初めては血が出て痛いんだろ」

どこかの本で読んだのか、大学生に教えてもらったのか分からない情報を口にする。


「トイレットペーパーで拭けばいい」

「痛いのは?」

「我慢する」


そうか、と口角を上げるが、いやらしさは全く感じさせない爽やかさを含んでいた。