初めは外へ出ていかないカイに常識的な知識は何も無いかと思っていたが、本を大量に読むおかげで私よりも常識的だったりする。


どんなお堅い文庫で知識をつけたかは分からないが、きっと性的な知識も持っている。


「どこまでって?」

しかし、こういった隠語は通じない。
正式名称をいわないと伝わらないのが本の難点。


ソノ言葉をオトメに言わせるのか。


「抱きしめた?」

まずはライトなものから。

「あぁ」


「手を繋いだ?」


「いや」

そう聞いてから私はカイのゴツゴツとした手に指を絡めた。

思わずこぼれる満足気な笑みに自分でも呆れるほどだった。


「ハスナが俺が好きなのか?」


ここで拒否されたらこれからの生活がしづらくなるだなんて考えもしない。

「好き」

カイの言葉は要らなかった。

私が一方的に握っていた手に、指を絡め返してくれたから。

やはり、美しい顔。

日に当たっていないせいで真っ白なのに、筋肉質なその体は妖艶な雰囲気で色っぽい。


「キスは、した?」

「あぁ」


私はその相槌が終わるか終わらないか、口付けた。


「私は初めて」


体が熱くなってくる。


「ハスナ、」

私のことをそんなに色っぽくハスナと呼ぶのはあなただけ。
私を求めてくれるのはあなただけ。

今度はカイから私に口付けた。

深いその人キスは、ねっとりと舌に絡まる。

頭が蕩けてしまいそうだ。

頭が正常に動かない中、うっすらと考えたのは、あぁ、カイとこういう行為をした相手は大学生かな、カイにテクニックを教えたのかななんて考えていた。


どれくらいの時そうしていたか分からない。

冬なのに湿気たこの地下室は、さらに湿度が上がってるように感じる。