湿気た愛

「抵抗しなければ、ずっとカイと一緒にいられる?」


私はもう気づいていた。
初めてここへ連れてこられてカイを一目見た時から、この人だと感じていた。

私に消えないで、と言ってくれるのは彼だけであると。


「あぁ」

沈黙が流れる。

再び口を開いたのはカイだった。

「けど、しばらくしたら正常な判断が出来なくなるらしい。
初めはみんな言うことを聞くんだ。
抵抗したらどうなるか分からないから。
でも、いづれ壊れる。
ハスナには、そうならないで欲しい」


孤独の辛さは私もよく知っている。
カイは今、私を求めている。


「カイと、ずっと一緒にいるよ」

私はカメラがあることも忘れ、カイに抱きついた。

カイは一瞬ビクッと動揺したが、私の背中に片手だけ、まわした。


私は生きてきて、1番幸せな瞬間だった。
頭の隅で、これが私にとっての“壊れる”症状なのかもしれないと思った。
けれど、幸せなら、カイが求めてくれるなららそれでいい。