湿気た愛

「お風呂、入ってくる」

「腹膨らませてからにしな」

立ち上がりかけた私の腕を掴んで無理やり座らせられた。
やはり鍛えてるだけあり、そこまで強く握られた訳ではなくとも、少し痛いと感じた。

私は顔を顰めてしまったようで。

「ごめん、力加減が分からなかった」

そんな嘘のような本当のことを言う。

カイはきっと、私としか真面目に触れ合ったことがなかったのだろう。

仕方ないことだ。

それに、ここへ来てからまだおにぎりをひとつしか口にしていない私を気にかけていることも伝わった。

心配しないで、と言わんばかりに頬張ると、初めてカイは笑った。

けれどそれは、数日一緒に過ごしたから分かるだけで、初日でこの表情をされても真顔だと思うかもしれない。

それでも私はとてつもない喜びを感じた。