このおにぎりが、朝ごはんなのかお昼ご飯なのか夜ご飯なのか。 

私はお昼すぎにあの町を歩いていたから、体感的には夜ご飯なのが普通だが、私はどれほど寝ていたのかは検討がつかない。


「ハスナ、さっきの女が言ってた言葉は気にしないでいい。」

「さっきの人って、カイのお母さん?」

「あぁ」


私はどうやら、カイを除く家族ぐるみで誘拐されたらしい。

元々あんな扉を見せつけられて逃げられるなんて思っていなかったから、脅しも、なんのことか気になるだけのことであった。

カイが気にしなくていいと言ってるのだからそうなのだろう。

私の最後の望みはカイだけだ。

孤独でない、それがどれだけ貴重なことかを知っているから、カイが自分の中でどんどん大きくなっていくのを感じていた。