湿気た愛

「あら、起きたのね」

そう言って頑丈な扉を開ける音がした。

降りてきたのはお姉さんとは違う女性。

片手にはお盆を持っている。

おにぎりがいくつかのっているようだった。

その女性の後ろに階段が見えることから、初めてこの場所が地下にあることを悟った。

カイは、きっとこの人が来ることをそろそろだと言ったのだろう。

驚くことなく、来たことに何の素振りも見せず、背を向けていた。


お盆を床に置き、去っていこうとした時

「あぁ、言っておくけど、逃げようとしない方がいいわ。
逃げたら痛い目にあうの…分かるでしょう、カイ。
ハスナちゃんによーくオハナシしておいてね」

気味の悪い笑顔を浮かべてまだ鍵を閉める音がした。