湿気た愛

「俺の名前は、カイだ。
君をここに連れてきた、あの女の弟だ」

弟だということは何となく想像していた。

2人は似ているという程ではないか、美しい顔をしているという点で共通していた。



「私は、ハスナ。」

君、という呼び方にどうしても慣れなくて、私も自己紹介をした。


弟だといったカイに何と言葉を繋げるのが正解か分からない。

しばらく沈黙が続き、それを破ったのはカイだった。



「そろそろだ」

何がそろそろなのだろう。
どうやらカイは口数が少ないタイプのようだ。