……の、はずだったのだが。

「じゃあ、君の席は星出藍さんの隣ね」

嘘やん。そんなことある?

あ、でも、私の隣いないし、1番後ろだし、朝から誰も座ってない席が隣にあったし……。

くっそう、関わらないといけないのか?いや、きっと前の席の詩乃に頼るよ、可愛いし。

その時不機嫌になるであろう理央の機嫌は私が治すとして、お願い、私に関わらないで!

「初めまして、星出さん」

「へ?」

「ん?」

私と詩乃が同時に転入生───逢瀬颯太くんを見る。

あー、やっちゃった。これ、こっちに来てから毎回なんだよね。

いとこだから、詩乃と私は苗字が一緒で、星出さん、と呼ばれたら私も振り向いてしまう。癖だよね、もう。

「ごめん、なんでもない。続けて」

私は、関わりたくもないし、間違えてしまったことが恥ずかしくて、急いで目を逸らす。

恥ずかし……。

「え、いや。こちらこそ、ごめん。俺、星出……藍さんに話しかけたつもりだった」

「ん?え、私?」

横を見れば、何故か机をくっつけようとしている逢瀬くん。

な、なな、なんで?どうして!?

「ちょ、まっ……なんで机?」

「だって、俺まだ教科書ねぇもん」

あぁ、そうか。関わりたくないけど、それは仕方ないな。いつもなら……ただ忘れた人なら全力で拒否してたけど、元々無いしね、しょうがないか。

「そうだ、星出さん。校舎案内よろしくね」

……嘘でしょ?

めちゃくちゃ関わらないといけなじゃないですか……。