「あのさ、提案というかお願いなんだけど……出来れば司書の試験が終わるまで聞かなかった事にしたいんだけど。
 この話だって大学の卒業後、私の仕事が落ち着いたらって感じでしょ?」

どうか、違ってと願いながら。
試験勉強に集中し過ぎて記憶から消し去りたいの。なんて言えない。
こんな事を言ったら母にまた脅されるか地雷を踏んでしまうところ。

「それは無理だ。
 今度の日曜日に顔合わせする事が決まってる。
 お母さん!!椿の着物の準備は出来てるかー?」 

日曜日!!
またここでも急なスケジュール。
スケジュールの取り方が下手な方かしら?なんて事も言えやしない。
このノリノリのテンションの高さも信じられないんだけど。

「はい!もちろん!!
 椿、成人式の時の着物はさすがに覚えてるでしょ?
 あのお着物着ましょうね。
 とっても似合ってたからまた着たところ見たいなって思ってたのよ。
 岳ちゃんのお母様もお写真見せたことがあるんだけど早く生で見たいって!
 よかったわね!椿!」

ママ、楽しそうだね。。。
私、お嫁に行っちゃうんだよ?
こんなに楽しそうな二人を裏切れない。
本音を言えば土曜日の夜辺りからどこかに逃げたいよ。

信じられない両親を冷たい目で見るわたし。
現実逃避をする為に最近出版された、シリーズもののミステリーを読もう。
こんな日に勉強したって頭に入らないと思う。
意味不明な状況だけど、図書館で働く夢叶えるから!!