窓から見える美しい木々に心が穏やかになり、清々しい静寂に包まれた堂内で僕は純白のドレスを身に纏った美しい妻を待つ。

『遅くなって、ごめん。』とーーーーー。

木目調で暖かみを感じさせアットホームな雰囲気を然り気無く演出してくれるそのドアが開かれる。

手に持っているブーケからも分かるほどにお腹が大きくなった椿にもう一度、恋に落ちる。

招待客を見渡すと堪らず涙を流し、お義父さんと一歩ずつ一歩ずつバージンロードを歩いてくる。

目が合うと、はにかんだ笑顔が綺麗で思わず僕も泣きそうになる。

椿が決断したのは、森の中にある小さなチャペルでの結婚式。

青い海がなくても白い砂浜がなくても大好きな人たちに祝福され見守ってもらいながら嫁ぎたいからと。

君がバージンロードの本当の意味を知ってしまったら泣いてしまうのを承知で教えた。

ゆっくり、ゆっくり、椿とお義父さん、お義母さんとの今までの道のりを思い出しながら僕のところに歩んできて欲しい。

「これからも、どうぞ宜しくお願いします。」

これからは二人で、あと数ヶ月したら三人で新しい道のりをゆっくり、ゆっくり歩んで行こう。

「こちらこそ。」

差し出した僕の手を躊躇うことなく涙目になりながらも掴んでくれた、この小さな手を一生離さないと此処に誓おう。

『ママとパパは君に会えるのを楽しみに待っているからすくすく育て。』

まだ見ぬ我が子にも約束をする。

『ママを一生大事にする。』